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そして物語は行く

いよいよ白シャツ1枚じゃ室内で過ごすのも辛くなってきた11月、新生活を始めた。

街中に『クリスマス・イブ』が流れ、年末年始に向けてみんなが盛り上がっていくこのタイミングで、僕は一人で歩き始める。


約2年交際し、うち約1年同棲した相手との別れを決意したのは2021年早秋のことだった。

年齢が離れていたこと・ライフスタイルがまるで違うことが影響したかは分からないけど、相手の価値観や考え方に僕がついていけなかったり、その反対も然りだった。そうして少しずつ現れた綻びは元通りにできるわけもなく、どうしようもないくらいに広がってしまっていた。それに気がついたときに別れを決めた。

後悔は無かったけれど、「またね」と言って去っていく後ろ姿と閉まるドアを見ながら、僕はもうこの人と過ごすことはないんだよなと思い、少しだけ寂しくなった。


僕は出社する必要のない、いわゆる「リモートワーカー」なので、新たな家を選ぶ選択肢は他の人のそれよりも十二分にあった。

条件はこれまで住んでいた物件の2/3くらいの家賃で住めて、リビングと寝室/仕事部屋が分けられる1LDKの間取りの2つ。色々な場所を検討したけど、都心から40分ほどの距離にある街に住むことにした。駅から徒歩数分とは思えないくらい静かな土地で日差しも明るく、新生活にはぴったりな家を見つけたからだ。

結果として僕は23年間の人生で初めて東京を離れ、都民から県民になった。

初めて「外から東京を見る」立場になったわけだけれど、移り住んで1週間しか経っていないのにあの喧騒が恋しくてたまらない。繁華街と呼ばれるところにも行ったけどやはり都内のそれには到底敵わないし、違和感ばかり感じてしまった。

次の引越しを今から考えるのはあまりにも早い話だけど、次は東京に戻りたいなと思っているし、きっと戻るだろう。


実家を出てすぐに同棲を始めたこともあって、人生初の一人暮らしは全く慣れる気配がない。

これまでは24時間のうち少なくとも数時間は同じ空間に人がいたから暖かみも感じたし何かしらの「音」が鳴っていたけど、一人暮らしは自分が何かしら行動しないと暖かさも音もない。

インターネットで見かけた面白そうな記事を共有する相手も、テレビを見ていて気になったトピックについて喋る相手もいないのも居ないのは中々精神的にキツいものがある。

これまで難なく作れていたご飯も、食べるのが自分だけとなると作るのが億劫になって、1週間経ってもまだ2回位しかキッチンに立てていない。

救いといえば、一人暮らしを始めるにあたって理想の部屋を実現できたから、これから時間が経つごとに満足の行く暮らしができるであろうことと、近く・全国に友人がいて何かと気にかけてくれることだろうか。


いやはや、これからの生活どうしたものか…と思うばかりだけれど、ともかく自分で選んだ道だから進んでいくしかない。まだ物語は始まったばかりなのだから。