僕のおじいちゃんはセミプロのカメラマンでした。
おじいちゃんと写真
もともと写真を撮ることが好きだったという僕のおじいちゃん。
やり始めたらどんどんのめり込んでいく性格も相まって、映画女優をモデルに撮影を行うほどの腕前になったといいます。
有名人ともいえるモデルに対してポーズの指示を出し、自分の納得のいく写真を撮影する。こうして撮影した写真は大きなポスターサイズにまで引き伸ばして現像し、自宅兼オフィスに飾っていたそうです。
こうして自宅に飾る多くの写真は僕の父や父の友人から人気を博していたそうで、新しい写真が飾られると「また綺麗なお姉さんの写真が増えてるぞ!」と多くの人々が自宅に押しかけていたと語ってくれました。
そんなおじいちゃんの背中を見ながら、時にはおじいちゃんのカメラを借りながら成長した僕の父は、セミプロとはいかないまでもおじいちゃんと同じく写真を撮るように。そして、そんな父の背中を見た僕もいつからかカメラと写真が好きになっていました。
では、おじいちゃんは?
おじいちゃんは写真から離れていました。
70歳になるまで会長として家族経営の会社を支え続け、気が付けば写真を撮る時間も少なくなるように。最後にフィルムカメラを手に取ったのは数年前と、すっかり「写真撮影が趣味」とは言えなくなっていたのです。
こうして、おじいちゃんが所有しているカメラはケースに入れた上で押入れの奥へと追いやられていきました。
この話を聞いたのは、僕が久々に祖父母の自宅を訪れたとき。父が「息子がカメラにハマっている」とおじいちゃんにポロっと話したようで、「お前カメラ好きなんだって?」という言葉から色々と話してくれました。
そして「俺が持っていても仕方ないからお前にあげる」と渡してくれたのが、おじいちゃんがセミプロ時代から愛用していたオリンパスの「OM-1」というカメラ。
調べたところ1970年代前半に生産されていたフルマニュアルのフィルムカメラだそうで、「ザ・フィルムカメラ」と言わんばかりの完成された外観が特徴的。今回はおじいちゃんが持っていた装備をそのまま受け継いだので
- 28mm単焦点
- 50mm単焦点
- 75-150mmのズームレンズ
- ストロボ
- モータードライブ
- センターフォーカスフィルター
など、まさにフル装備。最後に使用した数年前でも正常に使えていたとのことなので、腐食などの問題もなさそうです。
最初のフィルムには富士フイルムのPRO 400H・Nature 1600とKodakのPortra 400を選択。3つの写りを見ながら少しずつメインのフィルムを決めていけたらいいな。
祖父から孫へ。
こうして祖父から孫へ、まさに世代を超えて受け継ぐことになったOM-1というフィルムカメラ。まだデジイチでの写真すら未熟なのにフィルムカメラの世界へ飛び込むなんて、身が引き締まります。
40年前から数十年に渡って、様々な景色を写してきたOM-1。僕はこれから、このカメラでどんな景色を切り取っていけるのでしょうか。