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オールドレンズの銘玉をAFで。TECHARTのマウントアダプター『LM-EA7』レビュー

ソニーのミラーレス一眼『α7R III』をメインに使う理由の一つに、オールドレンズをフルサイズ画角で気軽に使いたいからというものがあります。淡い写りを楽しんだり、特徴的なボケを味わえるのはαユーザーならではじゃないかな。

ただ、こんな風にオールドレンズを使っていると唯一いやになってくるのがフォーカス合わせ。

α7R IIIに限らず最近のミラーレス一眼であればフォーカスピーキング機能を活用して楽にピントが合わせられますが、ピント面が薄い「F1.4」などのレンズを使っていると、なかなかピントが合わず撮影まで時間がかかってしまいます。

そんなところに見つけたのが、TECHARTというメーカーから発売されているマウントアダプター『LM-EA7』。ライカMマウントに対応しているレンズであればどんなレンズもオートフォーカス対応に変身するということで、お気に入りのレンズでもある『CONTAX Planar 50mm F1.4』用に購入。しばらく使ってみたので、使用感などをまとめておこうと思います。

TECHARTのマウントアダプター『LM-EA7』レビュー

今回紹介する『LM-EA7』はライカMマウントレンズをソニーEマウントに装着するためのマウントアダプター。

一見すると一般的なマウントアダプターと変わらないのですが、この製品が凄いのは内部にモーターを搭載し、物理的にオートフォーカスを実現しているところ。ヘリコイド付きマウントアダプターのようにレンズ自体が動き、うまくピントを合わせる仕組みです。

発売元のTECHARTから投稿されているYouTubeデモ動画がこちら。最近のレンズに慣れているとAFの駆動音が気になりますが、モーターが動いているんだから仕方ありません。静かなところでは少し気になるかな〜というレベル。

ソニーEマウント側には電子接点も付いていて、後述する設定によってレンズの焦点距離をEXIF情報として残すことが可能。オールドレンズはEXIFが残らず撮影した写真が面倒という難点も抱えていたので、こういう細かなところが便利。

『LM-EA7』に対応しているカメラ

  • α9
  • α7R III / α7R II
  • α7 III / α7 II
  • α6500
  • α6300

『LM-EA7』の使用に対応しているのは、α9やα7R IIIなど位相差AFに対応したカメラ。位相差AF対応のカメラとしては上記以外にも『α6400』『α6000』などがありますが、現在のところ対応する予定はないようです。

『LM-EA7』に対応しているレンズ

  • ライカMマウントを採用したレンズ
  • 重量が500g以内のレンズ

上記の通り、LM-EA7に対応しているのは「ライカMマウントで重量が500g以内」のレンズ。

重量が500gを超えるような大型レンズを使用する場合、モーターが重さに負けて正常に動作しない可能性があるようなので注意が必要です。

ライカMマウント以外のレンズを『LM-EA7』で使うには

「ライカMマウントにしか対応してないのか!」と思われた人も大丈夫。他マウントのレンズを使いたい場合、他マウント→ライカMマウントのアダプターを別途購入し装着すれば大丈夫

いわゆる二重マウントアダプター状態にはなってしまいますが、レンズとマウントアダプターの総重量が500g以内であれば問題なく利用可能です。

今回は『CONTAX Planar 50mm F1.4』に装着したかったので、ヤシカ/コンタックスマウントからライカMマウントに変換するマウントアダプターを購入しました。

このマウントアダプターに関しては特にどんなモノでも大丈夫。僕はK&F Conceptのアダプターを使っています。


ちなみにこれを購入する前にマウントアダプターはある程度揃えていたので、全て買い直しになりました。

α7R IIIで『LM-EA7』を使ってみる

実際にLM-EA7を介して『CONTAX Planar 50mm F1.4』をα7R IIIに装着してみます。

装着方法は一般的なマウントアダプターと同様で非常に簡単。まずカメラ側にLM-EA7を装着して…

その後にレンズを装着するだけ。普段レンズ交換するときと同じように「カチッ」と音がするまでレンズを回して固定してあげましょう。

上から見るとサイズ感はこのような感じ。二重マウントアダプターにしたことによってゴツく見えがちですが、大きさ自体はマウントアダプター1つのときと変わってないんですよ。

『LM-EA7』のファームウェアをアップデートする方法

LM-EA7はファームウェアをアップデートすることで最新の状態で使えるようになります。

例えば最新のVer 6.0.0では

  • ソニーα9、ソニーα7R IIIに対応しました。
  • コンティニュアスAF(AF-C)が改善され、性能が向上しました。

byサポート & ダウンロード/焦点工房

といったアップデートが行われています。アップデートは比較的安定して行われているので、将来的には『α7R IV』への対応も期待できそう。

TECHART Update
TECHART Update
カテゴリ: ユーティリティ, 写真/ビデオ
価格: 無料

アップデートに必要なのはスマートフォンアプリ『TECHART Update』。スマートフォンとBluetooth接続してファームウェアをアップデートする形です。

アップデートの方法や過去のアップデート内容は上記サポートページに細かく記されているので、アップデートの際は一読しておくのがおすすめです。

『LM-EA7』の設定方法と使い方

初期設定のままでも『LM-EA7』を使ってAF撮影はできますが、使用前にしっかりと設定をしておくことで、焦点距離を保存したり手ぶれ補正を最大限に活用できるようになります。

具体的な設定方法は

  1. 使いたい焦点距離に合わせてカメラ側でF値を設定する
  2. その状態でシャッターを切る(真っ白の写真が撮れるはず)
  3. カメラ側のF値をF2に設定し、絞りはレンズ側で調整する

というもの。カメラ側のF値は焦点距離を設定するためのトリガーとして使うというわけ。カメラ側のF値と焦点距離の対応表はこんな感じです。

カメラ側絞り焦点距離
F1115mm
F1318mm
F1421mm
F1624mm
F1825mm
F2028mm
F2235mm
F2550mm
F2990mm
F32135mm ※

※マニュアルフォーカスのみ対応

ちょっと覚えるのが大変ですが、これだけのレンズを揃えてる人はそうそういないでしょうから、持っているレンズと対応するF値だけでも十分です。

『LM-EA7』をマクロモードで使う

僕はまだ使ったことがないのですが、カメラ側のF値をF40に設定してシャッターを切ると、ヘリコイドがグッと飛び出しマクロモードになります。

マクロモードにすると最短焦点距離が短くなるので、最短焦点距離が70cmのライカMマウントレンズを使っている人はかなり便利になりそう。

『LM-EA7』で使えるAFモード

LM-EA7で使えるフォーカスモードは「AF-S」「AF-C」の2つ。

AF-Cで撮影する場合、Ver.6.0のファームウェアアップデートを実行済みのα9、Ver.3.0のアップデートを実行済みのα7R III / α7 IIIであれば、シャッターボタン半押しでのリアルタイム瞳AFや動物の瞳AFにも対応しています。

フォーカスエリアについては公式には「フレキシブルスポット:S」のみの対応ですが、実際に使ってみたところ「ワイド」「ゾーン」「中央」「拡張フレキシブルスポット」でも問題なく動作しました

『LM-EA7』+『Planar 50mm F1.4』の作例

アップデートや設定の方法について紹介したところで、いよいよLM-EA7と組み合わせてオールドレンズで撮影した写真をいくつか載せていきます。最後の1枚以外は全て撮って出しです。

『LM-EA7』を使ってAF撮影するときは、基本的にレンズ側のピントは無限遠で固定しておきます。ピントが合うまでの時間はそれなりに早めで、使っていて極端にストレスを感じることはありませんでした。

ただし、近くのモノを撮るときはピントが迷いがち。こういうときは

  1. フォーカスリングを回してなんとなくピントを近づけておく
  2. AFを動作させてピントを合わせる

とすれば間違いありません。ざっくりフォーカスリングでピントを合わせて、AFで追い込むような感じ。

『CONTAX Planar 50mm F1.4』はお気に入りのレンズなのですが、AFで使えるようになってやっと真価を見たような気がします。ピントが合った時の写りの良さが心地よすぎる。

二重マウントアダプターの状態で運用していますが、周辺減光や彩度落ちなども特に問題なし。安心して使えています。

まとめ

こんな感じで、今回はライカMマウントレンズをオートフォーカスで利用できるソニーEマウント向けのマウンドアダプター『LM-EA7』について紹介しました。

価格がマウントアダプターにしては高額なので「あんまり使えなかったらどうしよう…」と思っていたのですが、しばらく使ってみても不満な点は特になく快適に使えていて良い感じ。

マウントも「Mマウント対応」という表記こそありますが、他マウントレンズでもMマウントに変換してしまいさえすれば装着できるので、実質的にはどんなレンズもAF対応できるといっても問題ないでしょう。

価格はAmazonや楽天などでおよそ4万円前後。一部の家電量販店では展示もされているので「買いたいけど使えるか不安だ」という人は試してみるのも良いでしょう。

オールドレンズを普通のレンズ並みに使いこなしたい人やにおすすめのマウントアダプターです。

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