2018年にソニーの『α7R III』を購入して今年で3年目。今でこそ色々なレンズを購入して撮影を楽しんでいますが、カメラ本体が高価だったぶん最初はレンズ1本のみで運用していました。
その1本として僕が選んだのが、タムロンから発売されている標準ズームレンズ『28-75mm F2.8 Di III RXD』です。
重さ550gと軽量ながらF値は2.8通し、価格も10万円を切っているということで、フルサイズEマウントレンズの最初の1本として使っている人が非常に多いことが特徴です。
2021年3月にはSIGMAからライバルレンズともいえる『SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN Contemporary』が登場して、どの標準ズームレンズを購入しようか迷っている人も多いと思いますが、競合が増えたこのタイミングで、2年半ほど使ってみたレビューをまとめていきます。
2024年現在は後継モデルの『28-75mm F/2.8 Di III VXD G2』が発売中です。
目次
タムロン『28-75mm F2.8 Di III RXD』の外観やスペック
こちらが今回紹介していくタムロンの標準ズームレンズ『28-75mm F2.8 Di III RXD』。
レンズ本体はプラスチックのボディが採用されていて、ソニー純正レンズ(特にGレンズ以上)と比較すると高級感は見劣りしてしまいます。反面、レンズの重量は550gと軽量になっていて、F2.8通しの標準ズームレンズとしては非常に扱いやすくなっています。
現在こそSIGMAからF2.8通しのズームレンズが複数ラインナップされていますが、購入した2018年当時に発売されていたのは他にソニー純正のG Masterレンズ『SEL2470GM』のみ。価格もタムロンの3倍近くしてしまうため、タムロンを選んだという経緯があります。
広角端と望遠端の様子。このレンズは軽量化を図るために絞りリングやAF/MF切り替えボタン、手ブレ補正機構などが搭載されていないため、使い始めはすこし混乱してしまうかも。
特にAF/MF切り替えがレンズ側で出来ないのはそこそこ不便なので、ボディ側の「カスタムボタン」に割り当てておくと良さそうです。
フィルター径は67mmと、F2.8通しの標準ズームレンズの中ではトップクラスにコンパクト。
フィルター径が小さい=サイズがコンパクトですし、レンズフィルターも72mmを超えるとかなり高価になってくるので、それらと比べると安価に済ませられるのはフィルターを揃えていく上ではかなり助かるところです。ちなみに僕はmarumiの『EXUS』を装着しています。
タムロン『28-75mm F2.8 Di III RXD』のスペック
レンズ構成 | 12群15枚 |
絞り枚数 | 9枚 |
焦点距離 | 28-75mm |
開放絞り | F2.8 |
最小絞り | F22 |
手ブレ補正 | なし(ボディ側対応) |
最短撮影距離(広角端) | 0.16m |
最短撮影距離(望遠端) | 0.39m |
最大径 × 全長 | 73mm × 117.8mm |
フィルター径 | 67mm |
重量 | 550g |
タムロン『28-75mm F2.8 Di III RXD』の主なスペックはこんな感じ。
なんといっても注目すべきはF値と軽さ。記事の最初でも触れたとおり、F2.8通しという一般的には大きく重いズームレンズ群の中で550gという軽さはかなり驚異的で、正直この軽さだけでこのレンズを購入する価値はあります。
一方この軽さを実現するためにレンズ内手ブレ補正が省かれているほか、焦点距離も標準的な「24-70mm」ではなく「28-75mm」と少し望遠に寄った設定になっています。
とはいえフルサイズEマウントのαシリーズでアレばボディ内に手ブレ補正機構が搭載されていますし、広角端が28mmスタートなのも個人的にはそこまで気になりませんでした。
SIGMAの28-70mmより重いが、よりズームできる
2021年3月にはSIGMAから競合レンズとなる『SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN Contemporary』が発売されましたが、個人的にはSIGMAよりもタムロンのレンズのほうが良さそうだなと思っています。
というのも、重量こそSIGMAが470gと軽量ですが、そのぶん焦点距離が28-70mmとタムロンより望遠端が5mm短くなっているから。5mmというと大したことの無い差かもしれませんが、望遠端の5mmって意外と大きいんですよね…。
α7R IIIに装着してみた様子
メインカメラとして普段使っているα7R IIIに装着してみました。以前使っていたNikonのD810とSIGMA 24-70mmの組み合わせとは比較にならないくらいコンパクトですよね…。
上から見た様子はこんな感じで、胴が細身な分少し縦に長いような印象があります。ただし軽量な組み合わせなので持ち運びに支障はなし。
一昔前のAPS-C機を使っていた時と同じような感覚で持ち運べるので、カメラを持ち歩くことに対する心理的な支障は大幅に減りました。
タムロン『28-75mm F2.8 Di III RXD』の撮って出し作例
さて、ここからは実際にタムロン『28-75mm F2.8 Di III RXD』で撮影した作例を紹介していきます。まずはRAWファイルをそのままJPEGで書き出した「撮って出し」から。
江ノ島で撮影した一枚。ソニーのボディは淡い色味が特徴的だと個人的に思っているのですが、タムロンのレンズでも程よくその特徴が出ているように感じます。
露出も何もいじっていない写真たちなのですが、どこかしっとりしているような感じ。この日は雨が降っていて光が柔らかかったので、その気候が上手く反映されているように思います。
被写体に寄っての撮影も問題なし。フォーカスが合うまでの速度も早いので、スポーツなど極端に合焦速度が求められる場面でなければ扱いやすいレンズだなと思います。
タムロン『28-75mm F2.8 Di III RXD』の現像後作例
続いて、α7R IIIで撮影したRAWデータをLightroomで現像した写真の作例をどうぞ。
2018年11月に行った北海道での一枚。初めて自分用のカメラを持っていった旅行ということもあって現像はかなりクセのある仕上がりですが、現像の色乗りも問題なくよく写っている印象。
2019年3月、出雲大社で撮影した一枚。簡易的ではあるものの防塵防滴仕様になっているので、雨の日でも多少は気兼ねなく使えます。
2019年夏に大阪で撮影した写真たち。
2019年11月に行った台湾での写真。フィルムライクな現像にも余裕で耐えられますね。
まとめ
こんな感じで、今回はソニーフルサイズEマウント用の標準ズームレンズ、タムロン『28-75mm F2.8 Di III RXD』をレビューしました。
2年半ほどこのレンズを使ってきましたが、「標準」ズームレンズと言われるだけあってどんなシチュエーションでも癖なく良い写真が撮影出来る万能な一本だと感じました。
何度か書いている通りこの手のレンズは価格が10万円を超えることがデフォルトで、ソニー純正の最上位G Masterは20万オーバーという価格設定になっているのですが、タムロンのこのレンズは実売価格が8万円台と非常に安価。
もちろんG Masterなどと比較すると画質や解像感などで劣る部分も当然ありますが、いわゆるコストパフォーマンスはかなり高めに感じます。
軽量でF2.8通しと扱いやすいズームレンズになっているので、フルサイズαを購入した方はぜひこのレンズを「最初の1本」として考えてみてはいかがでしょうか。