2021年9月24日に発売された『iPad mini(第6世代)』の64GB・スターライト・セルラーモデルを発表直後に予約購入し、無事発売日に手元に届きました。
連休中がっつり使い倒してみたので、SNS上で「欲しかった」との声が多かったフルモデルチェンジiPad miniが実際にどうだったのか、レビューをまとめていきたいと思います。
目次
iPad mini(第6世代)について
今回紹介するiPad mini(第6世代)は、2021年9月24日に発売されたiPad miniシリーズの最新モデル。
2012年に初代が発売されて以来、2013年、2014年、2015年と毎年新モデルが発売されたiPad miniですが、それ以降は2019年春発売の第5世代まで音沙汰なし。
その第5世代も初代から踏襲し続けた本体デザインに申し訳程度のスペックアップを行った「極めて現実的」なモデルで、登場から時間が経つほどにAppleからの扱いも雑になってしまい、2020年秋には型落ちスペックにも関わらず「強力なiPad mini」の一言で発表会中の紹介が済んでしまう始末でした。
8インチクラスのまともに使えるタブレットが事実上iPad miniしか存在しないことから根強い需要があった反面、上述したようなAppleからの扱いっぷりから「もうiPad miniシリーズは廃止なのでは」との声もあったのですが、2021年秋に復活。
ホームボタンを廃止し、デザインも2020年秋に登場したiPad Airを小さくしたような仕様に変更され、スペック面でもiPhone 13シリーズと同じA15 Bionicチップを搭載。第2世代Apple PencilやUSB Type-C 3.1 Gen1にも対応するなど、フルモデルチェンジを経てまさに「求めていた最強のiPad mini」として復活を遂げました。
今回のレビューでは、これまでLightroom CCを使った写真の現像・コンテンツ消費といった用途でiPad miniを使っていた筆者の観点から、この週末iPad mini(第6世代)をガッツリ使い込んでみたレビューを紹介できればと思います。
外観とスペック
すでにフォトレビューは別の記事でも公開しているところですが、本格的なレビューに移る前に、ざっと外観や付属品を紹介していきましょう。
付属品はiPad mini(第6世代)本体のほかに、20WのUSB Type-C充電器とUSB Type-C to Type-Cケーブル。これまでiPad miniはLightning端子だったので、Type-C端子が搭載されるのは感慨深いものがあります。
今回購入したのは「スターライト」と呼ばれる全4色のなかで最もホワイト・シルバーに近いカラーリング。スターライト・ホワイト・シルバーの色味の違いについては別の記事にまとめていますが、温かみを感じつつしっかりとした白さがあるのでスターライトは個人的には好みです。
ホームボタンが廃止されたことに伴ってディスプレイサイズも7.9インチから8.3インチのLiquid Retinaディスプレイに大型化されました。
これまでは横向きで見たときに本体左右に太いベゼルがあったためムービー視聴の際に少し気になってしまうことがありましたが、今モデルでは全ベゼルの太さが統一されたため没入感が高まった印象があります。
iPad mini(第6世代)のスペック
iPad mini | |
---|---|
画面サイズ | 8.3インチ Display P3対応 |
大きさ | 195.4×134.8×6.3mm |
重量(Wi-Fiモデル) | 293g |
プロセッサ | A15 Bionic(6コアCPU/5コアGPU) |
メモリ | 4GB |
生体認証 | トップボタン内蔵型Touch ID |
端子 | USB Type-C 3.1 Gen1 |
カメラ | 12MP 超広角カメラ(インカメラ) 12MP 広角カメラ(リアカメラ) |
Apple Pencil | 第2世代Apple Pencil |
ざっくりとiPad mini(第6世代)のスペックを見るとこんな感じです。
iPad mini(第5世代)と比較すると、iPhone Xs世代のA12 BionicからiPhone 13世代のA15 Bionicにアップグレードされ、ディスプレイも大型化、取り回しやすくなった第2世代Apple Pencil搭載と、単なる「現実的」な底上げにとどまらず、しっかりとユーザーの求めていたモノに応えたスペックに。それでいて本体の高さは6mmほど小さくなっているため、取り回しも容易になりました。
A15 Bionicプロセッサに関してはiPhone 13 Pro・iPhone 13 Pro Maxに搭載されている6コアCPU・5コアGPUという上位バージョンが搭載されていて、単純なベンチマークスコアだけで比較すると昨年のiPad Air 4よりも上、M1チップを搭載したiPad Proに匹敵するスコア。
メモリはiPad Air 4と同じ4GBなため、簡単に言ってしまうと「iPad Airよりも小さくてパワフルなタブレット」というわけです。
現像マシンとして: α7R IIIの写真現像に耐えるスペック
さて、肝心の「現像マシン」としての性能ですが、8.3インチタブレットとしては完璧なほどハイスペック。
上の動画は、4000万画素センサーを搭載するフルサイズミラーレス一眼『α7R III』で撮影した7953×5304ピクセルの写真を現像しているところですが、全くカクつかずに各スライダーを動かせているのが分かると思います。
これまでiPad mini(第5世代)を使っていた時は、スマートプレビューという画像サイズを落としつつも実用的な編集が出来るモードを使って現像しないと本体の動作が追いつかない・本体が熱くなることが多かったのですが、iPad mini(第6世代)では「元画像」の編集もサクサク行えて正直感動モノ。
僕の環境で元画像がサクサク編集できる画面サイズの大きいデバイスは11インチiPad Pro(第1世代)、M1 MacBook Air、自作PCくらいしかなかったので、片手で持てるタブレットで快適に編集できるのは現像マシンとしてはかなり魅力的でしょう。
実は、iPhone 13シリーズ発売日に投稿した
- iPhone 13 miniフォトレビュー
- iPhone 13 Proフォトレビュー
- iPad mini(第6世代)フォトレビュー
- 新色「スターライト」比較
の4記事に掲載されている写真(掲載していない写真も含めると79枚)は、全てiPad mini(第6世代)を使って発売日のスキマ時間に現像・書き出したもの。
ちょっとした時間に手元でササっと作業を進めて書き出しできるパワーとポータビリティの両立は、M1チップ搭載Mac・iPad Proでは不可能な芸当で、外で写真の現像・書き出しまで済ませたいと考えている人にとってiPad mini(第6世代)は唯一無二の選択肢になり得る存在です。
上記の記事ではそれぞれの記事に合わせて書き出しを行いましたが、79枚を同時に書き出すとどれくらい時間がかかるのか?というのを試したのが上の動画。79枚で7分18秒で、モバイル端末で行うフルサイズの現像と考えれば正直十分でしょう。
このブログで使うことの多い長辺1680pxの書き出しは3分半ほどで完了。今回はこちらを使って現像→アップロードしたため、特に時間がかかってイライラするというようなことはありませんでした。
USB Type-C端子になったのが最高に嬉しい
高画質カメラを使っている身として、現像マシンに「現像の快適さ・速さ」以外にもう一つ求めているのが、カメラから本体にどれだけ高速に転送できるかという点。
これまでiPad miniに搭載されていたLightning端子は形状こそコンパクトで使いやすいものの、転送速度はUSB 2.0相当の最大480Mbpsとかなり低速。そのくせ専用のSDカードリーダーも高価で、正直言って4000万画素の写真を転送するには不満の出るインターフェイスでした。
反面、今回のiPad miniから搭載されたUSB-Cポートは規格上USB 3.1 Gen1ポートとなっていて、転送速度は最大5GbpsとLightning端子の約10倍。正直iPhone 13 Proシリーズにこそ搭載されるべき端子だと思いますが、ともかく快適な端子が搭載されたわけです。
USB Type-Cポートが搭載されたことで、速度面だけでなくカメラ本体・記録媒体との接続もグッと容易になりました。
例えばUSB Type-Cポートが搭載されていてUSB転送に対応しているカメラ(α7R IIIなど)は、カメラとiPad miniを接続すればカメラ内の写真を転送できるようになりますし、SDカードを接続する場合もAnkerのUSB-Cカードリーダーなどの安価かつコンパクトな転送装置を使えばOK。
USB Type-C搭載のPC・タブレットが増えたことでカードリーダーは安ければ1,000円〜購入できるものも多く、これまでのようにLightning端子でしか使えず、速度も遅く、かつ高価なApple純正品を買う必要はないんです。
カメラバッグに入るコンパクトさが魅力的
スペック周りから「現像マシンとして便利!」と語ってきたiPad mini(第6世代)ですが、そのコンパクトなサイズも当然魅力的。1世代前のiPad miniとほぼ変わらない大きさ(むしろ長辺は少し小さくなった)になっているため、僕が使っているEveryday Slingなどのカメラバッグとの相性も抜群です。
これまでは画面サイズと本体サイズのミスマッチでiPad mini+カメラという組み合わせで外出したことは少なかったのですが、週末がっつり使い込んだ限りこのコンビは個人的には最強。iPad miniはセルラーモデルを購入しデータ通信できるようにしているため
- 写真をα7R IIIで撮影する
- SDカードリーダー or USBケーブルでiPad miniに取り込む
- iPad mini上で編集する
- iPad miniからシェア・アップロードする
と一連の動作がカクつかず、かつ快適にできるようになりました。これだけでも、撮影した写真をすぐにSNSで共有したり撮影相手に渡したい!という人には非常に魅力的に映る端末じゃないでしょうか。
もちろん現像以外にも使える
ここまで写真の現像マシン用途を主としてiPad mini(第6世代)を紹介してきましたが、もちろんこれだけ高性能になったiPad miniは「エンターテイメントマシン」としても優秀。ホームボタンが無くなり画面サイズが大きくなったことで、コンテンツ消費もこれまで以上に快適になった印象を受けます。
例えば、これまで没入感が少なかったゲームを全画面で楽しんだり。
Google Mapsとブラウザ、iPadOS 15から追加されたクイックメモを同時に開いてお出かけのプランを練ったり。
Apple Pencil(第2世代)の使えるコンパクトなデジタルメモ帳として使ったり。
片手で持てるサイズ感はKindleでマンガを読むのにも最適でしょう。
もちろん、iPad mini(第5世代)で搭載されていたDisplay P3対応は継続。YouTubeやPrimeビデオなど視聴覚コンテンツもiPad mini(第5世代)以上にダイナミックに楽しめます。
初代iPadから主目的として扱われることの多い「コンテンツ消費」の快適性はしっかり向上させつつも、USB Type-CやCPUなどこれまで少しiPad miniでデメリットになっていた部分が着実に解消されていて、今回のiPad miniは単に「小さいiPadが欲しい」人だけでなく「小さいiPadで少しクリエイティブなことがしたい」という人にもおすすめできる1台といえます。
一部アプリはiPad miniの画面比率に非対応
総合的に満足度の高いiPad mini(第6世代)ですが、今モデルから変更となった画面のアスペクト比に対応していないアプリがまだ多い点は注意が必要です。
GAFAが提供しているアプリやEvernote・Todoistなど大手サービスのアプリはiPad miniの発売に合わせて新アスペクト比対応のアップデートが提供されていますが、上に掲載しているMini MotorwaysなどApple Arcadeで提供されているアプリでも今後のアップデート待ちになっているケースも見受けられます。
iPad mini(第6世代)の新スクリーンを存分に楽しみたいという人はアップデートに期待するのが良さそうですね。
ガシガシ使いたいならWi-Fi + Cellularモデルがおすすめ
一通り使い勝手をまとめたところで、最後にiPadを選ぶ上で気になる人が多い「Wi-Fiモデルにするか」「Wi-Fi + Cellularモデルにするか」というポイントについても触れておきます。
Wi-Fi + CellularモデルはWi-Fiモデルより1.5万円~2万円ほど高価格になっていますが、iPhoneのように4Gや5Gに接続してどこでもインターネットが使える点が特徴です。
iPhoneと同様にGPSが搭載されていることから車に車載してGoogleマップなどをカーナビに使ったり、MacBookなどを外で使う場合にiPadのインターネット共有を有効にすることでiPadを長時間WiFiルーターとして使うこともできるため、外出先でiPadを他デバイスと組み合わせて使いたい人にはWi-Fi + Cellularモデルが最適。
反面、Wi-FiモデルはWi-Fi + Cellularモデルと比較すると安価ですが、GPSは非搭載かつインターネット接続にはWi-Fiネットワークへの接続必須。自宅でiPadを使うことが多い人・外での接続はiPhoneのインターネット共有を使う人であればWi-Fiモデルでも十分でしょう。
これらを踏まえて僕が使っているのはWi-Fi + Cellularモデル。レビュー本編でも紹介したようにLightroomを使った外出先からのリアルタイム現像、M1 Macと合わせて長時間のノマド作業を快適にするといった芸当はWi-Fiモデルでは不可能で、小型ながらも多機能なiPad miniのポテンシャルをさらに引き出せる選択だと感じています。
現在はドコモの5Gデータプラスを使ってデータ通信をしていますが、これから新規でデータ回線を契約する場合は楽天モバイルがオススメ。毎月1GBまでは0円、どれだけ使っても月額3,278円と、iPad miniの利用シーンに応じて柔軟に料金が変わるプランになっているため、幅広く人に最適なSIMカードでしょう。
まとめ: クリエイティブにも娯楽にも使える「最強」のコンパクトタブレット
iPad miniは「初めて買ったiPad」でもあるため、フルモデルチェンジとなった今回はスペック的な「欲しい」よりも記念的な「欲しい」が勝って購入してしまった今回のiPad mini(第6世代)。
実際に手に取ってみるとこれまでの第1世代~第5世代と使われ続けてきた中で時代遅れとなっていたホームボタンと極太ベゼル、求められていたUSB Type-Cポートが搭載されるなど、使っていてすぐに多幸感を感じられる端末に仕上がっているなと感じました。
もちろんスペックだけを考えるとM1チップ搭載のiPad Proには及びませんが、iPad Air 4ライクになった現代的なボディやiPadOS 15によって便利になった使い心地など、トータル的な満足度で考えるとこれまで買ってきたiPadの中でピカイチ。これこそ「俺たちが求めていた最強のiPad mini」に仕上がっていると胸を張ってオススメできる1台でしょう。
iPad mini(第6世代)とあわせて買っておきたいアクセサリーもまとめているので、購入を検討している人はこちらも参考にしてみてください。